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音にも色がある?


            増川真澄
  増川真澄さんのエッセイです。
 

第一回 音にも色がある? (2011年10月12日)
 文豪アンドレ・ジイドは、彼の名作「田園交響楽」 の中で「ヴァイオリンは黄色、チェロは緑・・・(中略)・・・ホルンは赤〜」だと、楽器の音色を色で表現しています。
 またロシアの画家カンディンスキーは、絵画の世界に音楽を持ち込みました。そこでは緑をヴァイオリン、濃紺をチェロ、明るい青をフルート・・・の響きに たとえて、「色彩には音楽的な響きがある」と主張しています。
私達も音楽を聴くと、その音楽によって連想される情景を思い浮かべることがあります。
とくに合唱(歌曲)の場合には、必ず歌詞がある(例外的にスキャットなど歌詞のないものもあるが)わけですから、歌いながらその歌詞によって展開される情 景=色を感じています。例えば「フィンランディア」であれば、北欧の青く澄み切った湖や緑の森、「茶摘」であれば、青い空の下、延々と広がる緑の茶畑、そ の間に見える茶摘娘の赤いタスキなど。
 今日私がお話するのは、音の集合体である一つの楽曲によって感じる情景・色彩の世界ではなく、音そのもの(CとかGとかA♭とか・・・)あるいは特に調 性(ハ長調、ト長調、変ロ短調など)そものに色を感じることができるか、ということです。
 「音色」と言う言葉があるように、音と色には深い関係がある、あるいは音を聴いたとき、音の刺戟にたいして五感のうちの一つ聴覚が反応することは当然と して、同時に視覚も反応する、といったことが近年脳科学者や心理学者の間で言われるようになりました。
 かって、リムスキー・コルサコフは自分の個人的な色彩感覚について、論文を発表していますし、スクリアビンも調性に色彩を感じることを意識していたよう です。
 最近、この音(単音や調性)と色彩の関係を科学的に捉えようとする試みが行われ、その一つとして、アメリカの某音楽大学でそれぞれの調性にどのような色 を感じるかの実験がおこなわれました。
 以下の表は、リムスキー・コルサコフ、スクリアビンとアメリカの大学生の感じた調性のもつ色です。


リムスキー・コルサコフ スクリャービン アメリカの音大生
ハ長 調
ト長 調 茶が かかった金色・明るい    オレ ンジ                          
ニ長 調 黄 色、まばゆい 黄 色、かがやき 黄、 橙
イ長 調 ばら 色、はっきり
ホ長 調 青、 サファイア、きらめく 青白 色
ロ長 調 暗 い、鋼の暗青色 凡そ 青白色 灰 色、水色
嬰ヘ 長調 灰緑 色 明る い青 金、 橙、青紫
変ニ 長調 濃 い、暖色
変イ 長調 灰紫 赤紫
変ホ 長調 暗 い、陰気な、青灰色 金属 製の輝きを持った鋼色
ヘ長 調
 皆さんはこれをみてどうお感じになりますか。皆さ ん方でしたら調性にどういう色をお感じになりますか。
 ある調性は共通性があるものの、別の調性は不明確あるいは全く異なる連想がされており時代背景や、国民性や、年齢層が違う、とはいえそれぞれ感じる色が 違うというのは面白いですね。
 結局現在のところ、調性と色の相関関係は科学的に理論的な統一性をもつところまでには至ってないようで、あくまでも個人的な属性によるものとされていま す。
 とはいうものの、「音色」という言葉があるように、音と色彩が相俟って様々な気分を生み出す、というのも経験的な事実でしょう。
 女性の甲高い声を「黄色い声」というように、高い音には明るい色のイメージがあります。逆に低く不明瞭な声を「澱んだ声」というように、低い音は色が混 じる合った暗いイメージがあります。
 また激しいリズムは暖色系(赤、橙、黄)、静かで落着いたリズムは寒色系(青緑、青)のイメージがあります。
 一般的に、ハ長調を原点にして♯記号が増える(ト長調→ニ長調→イ長調・・・)と赤のイメージが大きくなり、明るさ、興奮の度合いが増す。一方♭記号が 増える(ヘ長調→変ロ長調→変ホ長調・・・)と青のイメージが大きくなり、静かな、落着いた、沈鬱な度合いが増す、といわれています。
 宗教曲の中でも「レクイエム」と名のつく曲は、私の知る限り殆ど♭系の調性で書かれています。モーツアルト、ブラームス、ヴェルディ、フォーレ、ドボル ザーク・・・。もちろん部分的に♯系の調性に転調しているものもありますが、作曲者は♭系の調性に「死者を悼む気持を」感じたのでしょうか、それとも単な る偶然でしょうか。
(この一文は今年7月、某団体の会報に寄稿したものを、六甲男声用に一部手を入れたものです。その後テレビ番組「題名のない音楽会」で、音と色彩をテーマ にした番組が放映されたようです。私は知らなかって、つい最近合唱仲間からそのことを聞きました。その番組を観ていたらもう少し気の利いた文章になったの ではないかと、すこし残念です。)

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