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ホセ松岡の発声談義


 ● ご覧になるタイトルをクリックしてください。 

序 章 コーラスは人数でな い。「響く声」の魅力(2010年1月25日)
第1回 ハミングで「頭声」を会得する(2010年1月25日)
第2回 呼吸法と声の「支え」 (2010年1月25日)
第3回 音のひっくり返り、パッセージ音域の処理(2010年1月25日)
第4回 姿勢について(2010年1月26日)
第5回 「臍下丹田」の引き締め(2010年2月2日)
第6回 肩胛骨の間を狭めて、胸を張る(2010年2月6日)
第7回 肋骨を左右に拡げて準備してから歌い出す(2010年2月10日)
第8回 「姿勢」についてパート2(2010年2月12日)
第9回 ベルカントの呼吸法(2010年2月20日)
第10回 ピッチとハーモニー(2010年2月24日)
第11回 「あくび」の効用(2010年3月2日)
第12回 カルーソーの歌唱法(2010年3月10日)
第 13回 口の開け方(2010年3月16日)
第 14回 ベルカントは難しくない(2011年8月3日)



























第14回 ベルカントは難しくない(2011年8月3日)

 先 日、松方ホールで開催された神戸中央合唱団のコンサートを聞きました。驚いたのは男女とも発声に力、響きが欠けていたことです。小さい声でもホールの果て まで響く声が欲しいと、私など常々思っています。特に合唱が少人数になればなるほどそのことが大切。神戸中央合唱団は、昔に比べ随分団員が少なくなったの に、昔の関学グリー風の大人数を前提にした「壁塗り」発声をしているから迫力がない。わが六甲男声合唱団は、井上音楽監督が提唱されるベルカントのコーラ スをみんなで心がけたいものです。ところで、ベルカントの基本について格好の新聞記事(朝日)を見つけました。添付しますので参考になさってください。


第13回 口の開け方(2010年3月16日)

●このページも連載が13回(序章を入れると14回)になり、そろそろ終わりにします。締めくくりは、『発声の技巧とその 活用法』(酒井弘著、音楽之友社刊)という、名著からの引用です。
●この本のあとがきに「発声技巧のポイントは先ず呼吸法を習得することであり、それに併せて鼻腔や口腔、咽頭腔などの共鳴腔を合理的に充分活用することで ある。」と書かれています。呼吸法については≪第2回呼吸法と声の「支え」≫を参考にしてください。
●さて「鼻腔や口腔、咽頭腔などの共鳴腔を合理的に充分活用する」ためには<口の開け方>を研究する必要があります。酒井氏の推奨する口の開け方は「欠伸 が出るときのように自然に開いたという感じ」で「まず口を開けると言うのでなく、顎骨関節をゆるめるという考え方がよい」「顎骨関節は開いて、そこに指先 がわずかばかり入る程度のクボミができる。この状態が顎骨関節をゆるめた状態」「下顎の位置は引いたという感じよりは、むしろ幾分前に移動した感じであ る。」「逆に顎骨関節が締まったままで口を開ける場合には、下顎に力が入り口腔が自由に拡がらないばかりでなく、咽頭を圧迫したり、舌が硬く突っ張るよう な結果になるので声も自然硬く、喉声を作ることになる。」
●「いま一つ大事なことは舌の位置である。」「前歯に触れている舌の位置から、舌先を徐々に下歯茎の方向に下げてゆき、最低部に行った時舌小帯(舌の下面 中央にある縦の細いひだ)に触れるから、その位置まで下げておくことである。この場所が口を開けたとき、舌根が一番下がる位置であり、喉頭も深く下がる場 所である。」この項に関しては、≪第11回「あくび」の効用≫の図示を参照して下さい。
●下図は酒井氏の書物に掲載されている口の開け方です。ご参考に。(図挿入)
●これまでの話が、六甲男声がより美しいハーモニーをゲットするお役にたてば幸いです。

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第12回 カルーソーの歌唱法(2010年3月10日)

●前回、図を引用した『カルーソー発声の秘密』(P・マリオ・マラフィオッティ著、魚住幸代訳、1996年音楽の友社発 売)の中から、みなさんの(そして私の)参考になると思われる部分を抜き書きしてみます。(同書83〜85ページ)
●「最も効果的な発声のための舌や喉頭の適切な位置は経験でわかるようになる。」いろいろ試してみて、人にも聴いてもらって、良い音が響く「舌や喉頭の位 置を探す」と言うことでしょうか。
●「音声の出し方」とは通常「音が出始める時の喉と舌の相対的位置や声の音質である。多くの歌手が犯す最も深刻な間違いは、最初に胸や喉から音を出すこと だ。」
●「正しい音声の出し方としては、喉を意識的に開ける必要がある。」「喉を十分開くためには、あごを落として口を横に開けることが必要だ。もちろん高い音 を出すには口を少し広く開けるべきだが(中略)鏡の前で喉を開ける練習をし、医者に喉を見せる時のように口蓋を見てみるとよい。」
●「高い音の発声を完全かつ容易にするには、先行の音をどのように発声したかできまる。」
●「歌手、特にテノールは高い音を出す時に頭を前方に出すことが多い。その結果、緊張した喉声になり、聞き苦しい音になる。これを避けるには呼吸をできる だけ腹部にためておき、声を発する時に頭部への呼吸の通過を妨げないようにすることだ。」     

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第11回 「あくび」の効用(2010年3月2日)

●5 月4日ANCORの会合同演奏の指揮者本城さんのご指導は、きれいなハーモニーのための発声法について詳細な指導がありました。事実、テナーと言わず、 ベースと言わずすべてのパートが「高め、高めに音をとる」という彼の指導後、歌い慣れたはずの『月光とピエロ』が、見違えるばかりの澄んだハーモニーで響 きました。
●彼の指導の第一歩は、いわゆる「あくび」の位置に喉を保って(つまり喉を開いて)発声すると言うことです。これは息を吸うときだけでなく息を吐くときに もあてはまります。(ついでに言えば「あくび」の状態でお腹を使って息を吸うと、音がしません。もし息を吸うとき音がすれば、急いで胸を使う浅い息の証拠 です。)
●次に彼が指摘したのは、「上顎の奥を吊り上げる」ことでした。顎の骨は吊り上がりませんから、これはいわゆるスマイルの状態に顔の筋肉を保つと言い換え て良いでしょう。多くのテナーは、さらに眉毛を吊り上げることでこの状態を強化しています。
●彼の指摘の第3は、「鼻から息を出す」ことです。彼は、人差し指を横にして鼻孔にあてがうことで息の流れを確認できる、と言います。しかし、これは、実 際に鼻から勢いよく空気を吐き出すことではなく、また鼻声で歌えということでもなく、鼻腔の共鳴を大事にすると言い換えてよいでしょう。事実、正しい発声 では下の図の「正しい共鳴」の位置から、響きが立ち上る感じがするものです。(この図は音楽之友社刊『カルーソーの秘密』という本の119pに載っていま す。)

● 「あくび」の位置に喉を保つことは、上の図の「口の底で弛緩した舌」と「直立した喉頭蓋」に相当します。舌が後方に引っ込み、その舌により喉頭蓋が倒され ていると、いわゆる「抜けの悪い」声になります。この場合、発声の中心は鼻腔でなく、軟口蓋のあたりにあり、「引っ込んだ声」になるのです。
●高音では、さらに頭蓋骨の中の空洞に響かせることも必要になってきますが、これはまた別の話です。

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第10回 ピッチと ハーモニー(2010年2月24日)

● このコーナーでは毎回ピッチのことをうるさく繰り返して言っています。それは、合唱や重唱が美しく響くためには正しいピッチの保持が何より欠かせないから です。我々が今回定演で歌うリストのミサ曲中のキリエを例にとりましょう。この曲の最後は短調のもやもやした和音から一転してハ長調のドミナントを経過し てトニカで明るく鮮やかに解決しし、神の救いを表現しています。この和音の変化が不鮮明だと、それまでの演奏は全て水の泡に帰すと言っても良いでしょう。
●この部分を表現するためには、四部合唱のそれぞれのパートが自分の出す音の上下に責任を持つことが必要です。ドミナントへの移行はT1がCからHに半音 下がることで達成されます。T1の責任重大ですね。さてトニカでの終結には、T1はHからCへ半音上がり、B1はDからEへ一音上がり、T2はGからCへ え5度上がらねばなりません。T2もGの音をキチンとキープしてぶらさがらないよう気をつける必要があります。
●毎回の練習で、この部分になるとどうも気持ち悪いのは、ハーモニーが曖昧で、救われた気がしないからです。下の楽譜に赤い○をつけました。みんなで正し いピッチを出して和音の変化を楽しみましょう。

(注)和声学の知識不足で、ドミナントとサブドミナントを取り違えていました。上記の文章が正しく、ご指摘を頂いた田中安夫さんに御礼申し上げます。

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第9回 ベルカ ントの呼吸法(2010年2月20日)

●2 月20日付けの朝日新聞付録の「元気のひけつ」コーナーに、「腹筋使い、息出し切る」歌いかた、つまりベルカントの記事がありました。「のどを使ってはダ メ。腹筋で歌うんです」、空気を「たくさん吸い込む必要はない。出し切って、元に戻すだけ」とアドバイスしています。(指導は日本イタリア協会理事長の中 川くにこさん。イラスト参照)
●往年の名テナー、ジーリのCDに、ボート漕ぎマシンで腹筋と背筋を鍛えている写真が掲載されていました。歌ってほんとに体育会系の全身運動なんですね。

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第8回 「姿 勢」についてパート2(2010年2月12日)

● この連載を読んだ友人(体育の指導者で音楽関係者ではありません)から、貴重なアドバイスをもらいました。以下に紹介します。参考にしてください。なお、 私の言う「正しい姿勢」とは、東海林太郎のような「直立不動」ではありません。生き生きと体全体を使って発声するためのもので、いったん会得すれば、オペ ラやミュージカルの歌手のように、ステージを動きながら、あるいはベッドや床に横たわっても歌えます。
●「姿勢の事で一言。姿勢には、二つの意味があり、一つは身体的な意味の姿勢ともう一つは心の状態の姿勢です。足を組んでなどは心の問題では…。また、身 体的な姿勢で、深く長い呼吸をする正しい姿勢は、「気をつけ」の姿勢ではなく、(昔からの「気をつけ」を私達は正しい姿勢と思っている人が多い)…。気を つけ!の姿勢をすると、身体に力が入ります。リラックスした良い姿勢は、その場で足踏みをし、肩幅位に立ち爪先に重心が来る様に立ちます。肩を上下させ1 番良く動く姿勢が、良い姿勢で、リラックス出来、呼吸も深く吐いたり吸ったり出来ます。試してみて下さい。また、左右の指先をそれぞれ肩につけクロール泳 ぎをする様に廻すと肩甲骨の辺り全体が動きます。六甲男声合唱団の発展を祈ります。」

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第7回 肋骨を左右に拡げ て準備してから歌い出す(2010年2月10日)

●ANCOR の会で歌う「こきりこ」の練習でいつも気になっていることがあります。それは、この曲の最後でT1、2のパートソロからB1、2のパートソロへメロディを 受け渡すと、ピッチが低く聞こえることです。その部分だけを練習してもらうと正しいピッチなのに、テナーから引き継いで歌うとこの現象が現れます。ピッチ の低い方は少人数で、殆どの方は正しいピッチを保っているのですが「悪貨が良貨を駆逐」しているのです。
●ピッチが低く聞こえるのは、十分に胸の空気圧力を高めないまま、息を吐き出すので声帯がうまく機能しないからです。横隔膜を張らないまま息を大量に吐い て、ドスンと胸に響いた音がバスの発声だと誤解していませんか?セルゲイ・ジャーロフ指揮のドン・コサック合唱団でもベースのピッチは何時も低めで、テ ナーのピッチとの乖離があり、迫力はあるが、荒っぽい感じがしていました。
●肋骨の下部を拡げ、横隔膜の張りを感じ、ついでに胸を張ってから声を出します。この「準備」は、五線内下部の低音を歌いだすときにも正しいピッチを得る ために極めて重要です。

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第6回 肩胛骨の間 を狭めて、胸を張る(2010年2月6日)

● 一流のテノールは、みんな姿勢がよい。背筋を真っ直ぐにして胸を張っています。ではどうすれば、こんな姿勢になるのでしょう。答えは簡単、両肩を下げて、 肩胛骨の間を狭めます。この姿勢を保持すると空気の通り道ができ、高い音がすんなり出ます。横隔膜は肋骨の下部の左右への拡張を意識し、それを緩めないで 声を出し続けることで、「支え」のある、良く響く声が無理なく得られます。くれぐれも背中を前に曲げないこと。
●下半身はどっしり構え、腰骨の上の凹みを意識し、その上に真っ直ぐ伸ばした背骨を載せる感じを会得して下さい。

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第5回 「臍下丹 田」の引き締め(2010年2月2日)

●レッスンを受けていて「松岡さんは歌う時、体のどの場所を意識していますか?」と先生に質問されたことがあります。ハッ と気づいたのですが、その時は、いわゆる「臍下丹田」(臍から恥骨の上部までの下腹部)の意識がなく、声がぼけていたのです。
●謡曲などでも、この「臍下丹田」を引き締めて、声を朗朗と響かせることが求められるようです。歌舞伎役者、演劇俳優など、劇場の隅々にまで声を響かせる 職業の人には、すべてこのことが当てはまります。
●臍下の引き締めを「緩めないで」一つのフレーズを歌いきる、このことに集中すると自然に喉を通る空気の流れが良くなります。レガートで唄う場合の絶対条 件です。
●最近、テレビ放送みてパヴァロッティの姿勢の良さに感心しました。あの巨体の下腹部から押し上げられるスムーズな空気の流れが、美しい頭声を生む秘密で しょう。中音から高音へ頭声の比重を増しながら滑らかに移行するさまは、CDで聴くよりはDVDなどの映像メディアで見る方が分かりやすいようです。

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第4回 姿勢について (2010年1月26日)

● 最近、あまり見かけなくなりましたが、椅子に腰掛けて練習中、両脚を交差させている方(足を組んでいる方)がいます。また、あたかも、リクライニングした 席に座っているように、上体を背後に傾けている人もいます。なぜこんな姿勢が良くないのでしょう。両脚を交差させていると、十分な息を体の下部を使って最 適の場所(第2回参照)に吸うことができません。息が浅くなるのです。響きのある発声、支えのある発声が難しくなります。また上体を後ろに寝かせ加減で は、頭だけ前を向くので喉を詰めやすく、声帯をうまく鳴らせません。座って歌うときは椅子に浅く腰掛けて、上体を真っ直ぐに立て、背筋を伸ばして座りま しょう。この姿勢で真っ直ぐ指揮者を見るようにすれば、声帯も圧迫されず良い声になります。(楽譜にかじり付かず暗譜すると良い合唱になりますね)
●立って歌う時も同じです。両脚を肩幅に合わせて少し拡げ、腰のちょっと上に凹みを感じて両足とピラミッドを作り、どっしり立ちます。頭は下向けず、少し 上向き加減。顎は上と下の奥歯の間を拡げ、空気の通り道を確保します。喉仏を後ろに引かず、リラックスした状態で歌いましょう。
●このページの元々のタイトルは「私の愛聴盤」のはずでした。いままでレコード、CD、DVD、放送、生演奏で聞いた歌唱の中から、参考になるものを取り 上げて、次回からの発声談義を続けます。

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第3回 音のひっく り返り、パッセージ音域の処理(2010年1月25日)

● 音階を下から上げて声を出して行くと、あるところ以上高い音は、ファルセットに切り替えないと声が出なくなります。その高さは人によって違いますが、バス やバリトンの人はDからF位まで、テノールではEからGでしょう。この音域をパッセージと言い、それを旨く処理して滑らかな発声で歌うのはプロでも苦労す るところです。
●先天的に声帯の短い人は別にして(ソプラニスタの岡本氏のように)、普通の歌手は、良い姿勢、うつむかず胸を張って気道を確保し(空気の流れを良くす る)声帯でつくった響きの種を頭部に共鳴させ(音の高さによって当てる場所の意識は違いますが)ながら、この音域を乗り切ります。
●先生方からさんざん指摘されながらできずにいて、最近ようやく実感できたことは、いきなり高い音を出そうと狙っても出ない、また例え出ても聞き苦しい、 ということです。この問題を解決する方法は一つ。五線内の中音域、例えばBあたりから、キチンと頭声をミックスして発声することです。高い音をだそうと意 識を集中するのでなく、比較的低い音から準備し、その高音の基を順次拡げて行くのです。軟口蓋を上げたり、舌根を緩めたり、前歯の裏に共鳴を当てたりとい ろいろ工夫してみます。もちろん、その音は体全体を使って支えられていることが前提です。そこでは実声とファルセットの区別はありません。ただ、無理のな い共鳴を伴って声が伸びて行くだけです。私の場合、カンツォーネの≪カタリ・カタリ≫のサビの部分の最高音、Bをこのようにして出すことができるようにな りました。

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第2回 呼吸法と声 の「支え」(2010年1月25日)

● 合唱仲間で、よく「支え」のある声とか、ない声とか耳にします。これはどういうことでしょう。肺の中の空気圧力を保ったまま、それを緩めずに声帯を鳴らし つづけることができれば、「支え」のある声になります。胸にではなく、胴体下部を拡げて静かに息を吸います。そう、あくびする時、息を深く吸う要領です。 息を吸うとき音をさせてはいけません。音がするときは胸を使っているのです。胴体下部に空気が充満したら、胸を拡げ、下腹を引っ込めて発声の準備をしま す。息を吸った途端にいきなり空気を吐くのではなく、一瞬の間をおいて声を出します。準備のできてから行った発声(タイミングのずれが重要です)は声の伸 び、響きが違います。
●息は、一度にどっと吐くのではなく、声帯を鳴らすのに十分なスピードで細く吐きます。その息が口腔や鼻腔や頭の空洞に共鳴して「響く声」になるのです。 よく、胸を使って大きな声を出し、自分で良い声と勘違いしている人がいますが、そのような声は目立つだけでなく、ピッチが低くてハーモニーしません。息も 続かないでしょう。「支え」のある発声は胴体全体を使った体育会系の全身運動です。
●みなさんは、口をあけて「ア──」と何秒言い続けられるでしょうか。自分で音の出しやすい高さで15秒以上続けられれば合格です。ちょっと気を付ければ 誰でも20秒は続けられるようになります。
●口を少し開けて、下腹に圧力を感じながら、歯と歯の間から「シューッ」と息を細く長く吐き続けるドリルを、学生時代にしていました。これは大変効果的な 練習法です。グリークラブ時代を思い出してトライしてみましょう。

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第1回 ハミングで 「頭声」を会得する(2010年1月25日)
●「頭声」とは何でしょうか。正しいピッチのある声です。人の声にはこの「頭声」と「胸声」があります。低い音程では「胸声」が優勢になり、高い音程では 「頭声」が優勢になります。ミックスの度合いが変わるだけでどちらも、全ての音階で必要です。胸声は音色を作りますし、「頭声」は正しいピッチに欠かせま せん。「頭声」を混ぜず、喉を絞めて歌っていると、隣の人とピッチがそろわず、音がぶら下がります。また喉を絞め、力を入れて歌うと声が上ずり、どちらの 場合も合唱で大切なハーモニーを乱します。「響く声」は、「大きな声」ではありません。ピッチが正しく、よく共鳴する声なのです。
●「頭声」をうまく使って正しいピッチを得るには、まずハミングで音階を歌って見ます。口を開けたときFの出ない人でも、喉に力を入れずハミングすると高 音にどんどんつながって行きます。A位まで容易に出るはずです。ファルセットじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、それで良いのです。うまくハミング できないと言う人は、横隔膜の張りを意識し(肋骨の下部を拡げた状態に保つ)、喉の力を抜きましょう。
●次はハミングしている口を、指一本開いて見ます。大抵の人は、そこで音が低くなります。「頭声」を会得している人は、そのままのピッチで発声できます。 MDやカセットに録音して、自分の発声が、ハミングの時と口を開けたときとピッチが同じになるように研究して下さい。
●スタッカートの練習も、当たりの正しい音の会得に有効です。「ソ、ソ、ソ、ソ、ソラソラソ」の音階を「ハッ、ハッ、ハッ、ハ、ハハハハハ」とスタッカー トで適当に音程を変えて歌って見ましょう。下腹(臍下丹田)に力を入れてアタックします。それで正しいピッチが得られたら、「ア───」とロングトーンで 発声してみます。その時の喉仏の位置をよく覚えて置きましょう。声帯が、上り過ぎず、下り過ぎず、正しい位置にありることが肝心です。
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序章 コーラスは人数でない。「響く声」の魅力(2010年1月25日)
● ここ数年の音楽会で経験したことを書いてみます。(実名を使いますがご容赦ください)一つは大阪音楽大学のカレッジ・オペラハウスで上演された、≪魔笛≫ の合唱についてです。音大の先生クラスの方が、決して多くない人数で歌っていました。しかしその良く響く、伸びのある声の合唱や重唱には圧倒的な魅力があ りました。(合唱のリーダーは柏原先生で私も一時、師事しました)悪い方の例は大フィルの≪カルミナ・ブラーナ≫の合唱です。シンフォニー・ホールの2階 席中央で聞きましたが百名を遙かに超す大人数の割には声が届いてこない。特に女声にエネルギーが感じられない。拍手は、いつもの通り多かったのですが、レ コードに親しんだ身には、何とも迫力不足の演奏でした。
●男声合唱全盛時代の大学グリークラブは80人くらいの団体が珍しくありませんでした。最近増えてきたアンサンブル・コーラス(室内合唱団という言葉は好 きでありません)は20人程度で立派な演奏を聞かせてくれます。発足当時の六甲男声合唱団は、少人数ながら力強い声でデビューして聴衆にあっと言わせまし た。現在の大学OB合唱団は、声も響かない、人数にも頼れない、中途半端な存在の親睦団体(失礼!)になっていないでしょうか。先日の三商大演奏会では 200人で歌う合同演奏≪月光とピエロ≫が好評でしたが「これはもともと大人数で歌う曲でない」とのアンケートがありました。六甲男声合唱団は40名を切 るか切らないかの人数です。年々一人二人とメンバーが欠けて行く中で、合唱団としての魅力を保つには、どうすればよいでしょうか。人数に頼れない今、ただ 漫然と声を出すのではなく、団員の一人一人が、自分なりに発声を研究し、響きのある声を獲得して男声合唱の魅力を発散したいものです。次回からはその「響 く声を得る方法」について述べて行きます。

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